第42回疾病構造調査 理事会報告
令和3年10月15日に例年通り疾病構造調査を実施し検討を行いましたのでご報告させていただきます。
アンケート回答状況
今年度の有効回答率は診療所、病院ともに昨年度は高くなりましたが今回は診療所が47.9%、病院70.1%は例年並みでした。一医療機関あたりの平均患者数は昨年より微増したものの診療所62.3人病院外来31.1人と令和元年診療所74.1人、病院外来40.0人と比較しても減少しています。平成27年度は診療所83.5人病院42.0人でした。
部位別分類
診療所では今回も鼻副鼻腔が多く耳、口腔咽頭、その他の部位、喉頭と続いておりあまり変化はない。
病院外来では耳が最多でその他の部位、鼻副鼻腔、口腔咽頭、喉頭と続いている。病院入院は今回も口腔咽頭が最多で、その他の部位、耳、鼻副鼻腔、喉頭と続く。これらの比率は例年と同じである。
疾患別分類
診療所では、令和元年より見られた急性炎症の減少がまだ続いている。急性炎症は38.66%、令和2年度が39.19%、令和元年度が47.37%であった。慢性炎症の比率の変化はそれほどなく、急性炎症の低下に伴いアレルギーの比率が上昇している。アレルギーは今回21.06%、令和2年度が20.77%、令和元年度が16.31%であった。
病院外来では診療所のように急激ではないが急性炎症は年々減少して新生物の割合が増加している。今回新生物27.64%、機能性疾患25.85%慢性炎症19.12%、急性炎症7.33%であった。
平成26年は機能性疾患が25.09%,ついで慢性炎症23.62%、新生物17.55%、急性炎症14.17%である。新生物が増加して急性炎症は減少している。
病院入院でも新生物の割合は徐々に増加している。
部位別疾患分類
診療所を見ると、耳では昨年と同様に慢性炎症が最多であった。次いで機能性疾患、急性炎症と続く。令和元年では慢性炎症に次いで急性炎症、機能性疾患の順であった。
鼻副鼻腔では、アレルギー疾患、急性炎症、慢性炎症の順となっている。前回より急性炎症が減っている。2年前は急性疾患が最多であった。口腔咽頭、喉頭でもまいかい急性炎症が最多だが令和2年度より減少している。
病院外来を診ると、耳では23回より機能性疾患が1位を占め、慢性炎症、急性炎症と続いている。機能性疾患は診療所の約2倍、急性炎症は診療所の33%である。
鼻副鼻腔では、前回より慢性炎症がアレルー疾患を抜いて最も多くなっている。アレルギー疾患は診療所の約3割、急性炎症は2割と比率が小さい。
口腔咽頭は、今回も新生物が8.58%で最も多く、喉頭でも多い。どの疾患においても、令和2年度より急性疾患の比率は減少している。
病院入院を診ると、耳では機能性疾患が14.62%、慢性炎症2.80%となっている。第26回までは慢性炎症が多かった。
鼻副鼻腔では、慢性炎症が新生物を毎年上回っている。口腔咽頭、喉頭、その他の部位では例年新生物の方が多い。
年齢構成(図13-16)
診療所では、10歳未満と70歳以上が多い。10歳未満は年々減少傾向にある。70歳以上は令和2年までは増加していたが前回より低下している。
病院外来では、診療所と比較して10歳未満の比率が少ない。また、75以上の比率が前年度より低下している
病院入院の年齢グラフ波形は病院外来と同じく年少者は少なく老人に多い。入院では75歳以上の比率は増加している。
部位別年齢構成
全患者における耳では0~9歳と70歳以上で多く0~9歳が約13%であった。令和元年の21%より低下している。鼻副鼻腔では年少者が多い。口腔咽頭では年齢による増減はそれほど大きくない。喉頭は耳同様に75歳以上で急増している。部位別年齢構成ではここ数年で初めて口腔咽頭以外で75歳以上の年齢で減少がみられた。
グラフなし
診療所では全患者とほぼ同じ傾向である。
病院外来では、例年と同様で、全部位で診療所よりも年少者が少ない。また75歳以上割合が前年度より低下している。
疾患別年齢構成
急性炎症は9歳以下が圧倒的に多く、10歳以上は年齢による差はあまりない。慢性炎症は、5-9歳に小さな山があり15歳以上から年齢とともに増加して70歳以上で急増する。
アレルギー疾患は5~14歳が多く他の年齢では大きな差を認めない。新生物は年齢とともに増加し、45歳以上が91%を占め、60歳以上でも71%を占める。機能性疾患は20歳以上が約95%を占め、年齢とともに増加している。
診療所でも全患者とほぼ同様のパターンを示した。
病院外来では、耳において0-9歳の割合が診療所よりも極端に少ない。慢性炎症でも0-9歳は診療所より少ないが耳程ではない。
新生物は、27.64%と診療所の0.48%と比較して極端に多く、年齢は20歳以上が100%を占めていた。
病院入院は、急性炎症、慢性炎症、アレルギー疾患は人数も少なくパターン解析は難しかった。0-19歳までは0で、20歳より年齢とともに増加傾向にある。機能性疾患は40歳以上が約85%を占めるが全体に占める割合は最近増加傾向にある。
年齢構成
0~4歳の比率が最も多かったのが、B7泉州ブロック、B8大阪市北部で、少ない順にB3北河内地区、B5南河内地区となっています。昨年までは南河内地区が最も少なかった。
次に 70歳以上が多い順にB9大阪市西部,B5南河内,B4中河内となっている。今回75歳以上と0-4歳の比率が最も高かったのが大阪市西部であったが、令和二年度まではB9では0-4歳が75歳より多く今回75歳以上が急激に増加している。
ブロック別にみる疾患別年齢構成(表5)
令和2年度より急性炎症が急激に低下しているが、ブロック別には決まったパターンや変化は認めないがB9においてのみ75歳以上の比率が増加している。