令和元年10月18日(金)、大阪府下の耳鼻咽喉科全診療所と大学病院を含む全病院を対象として、例年通り疾病構造調査を実施した。以下にその集計結果を報告する。前回から年齢区分上限を70歳以上から75歳以上に変更している。
アンケート回答状況(表1)
有効回答率は今回、診療所は46.7%、病院は70.5%でした。
患者数(表2)
診療所は今回15184人とやや減少した。平成30年度は16422人であった。平成26年度24069人と近年減少傾向にある。病院では、今回2202人とやや減少した。平成30年度外来は2271人、平成26年度外来2108人であった。病院外来は横ばいもしくは増加傾向にある。入院は、今回557人であり、平成26年度616人と増減はそれほど無かった。
1医療機関あたりの平均患者数(表3)
診療所では74.1人とやや減少した。平成26年度81.2人と本年は減少していた。病院外来では今回40.0人であった。平成26年度は34.0人であった。入院については、今回10.1人であった。ここ数年は10人前後で推移している。
Ⅰ.部位別分類(図1~4)
診療所では今回も鼻・副鼻腔が最も多く、次いで耳、口腔・咽頭、喉頭の順であった。耳と鼻・副鼻腔とで全体の約77.4%を占める。
病院外来では耳が最も多く、次いでその他の部位、鼻・副鼻腔、口腔・咽頭、喉頭の順であった。病院入院では今回も口腔・咽頭が最多で、以下耳、その他の部位、鼻・副鼻腔喉頭、喉頭と続く。口腔・咽頭は診療所に比べると非常に多い
Ⅱ.疾患別分類(図5~8)
診療所では今回急性炎症は47.34%を占め、慢性炎症が23.43%であった。第3位のアレルギー性疾患は、今回は16.31%、ここ数年は15%前後で横ばいの印象である。新生物は、0.33%と少ない。
病院外来の最多は、機能性疾患で25.61%、次いで新生物で25.07%、慢性炎症23.02%、急性炎症10.31%であった。平成30~28年度と同じ順序であった。
病院入院では新生物が多く、本年度は49.01%であった。平成18年度は47.77%である。次いで慢性炎症、機能性疾患の順であるが、慢性炎症は20.11%で前年とほぼ同じであった。
Ⅳ.年齢構成(図13~16)
診療所では、老年者(65歳以上)と年少者(10歳未満)が多い。年少者の割合が減少傾向にあり、本年度も前年同様に0~4歳が13.68%で低下しており70歳以上の割合は昨年より増加し23.84%であった。75歳以上も16.85%で増加している。診療所、病院外来共に65歳以上の高齢者が多い。また0~9歳は診療所では多いが、病院外来ではそれほど多くない。
Ⅴ.部位別年齢構成
2.診療所(図22~26)
耳では老年者と年少者が多く、 鼻・副鼻腔では年少者が多い。口腔・咽頭では全年齢で10%を超えておらず年齢差は小さい。喉頭では69歳までは大きな差がなく、70歳以降に増加し、75歳以上で急増する。
3.病院外来(図27~31)
全部位で病院外来では診療所よりも年少者が少なかった。
4.病院入院(図32~36)
耳では60歳以降に増加傾向を示す。60歳以降で全体の55%を占める。鼻・副鼻腔では45歳以上で大部分を占めるが耳のように60歳以降に増加傾向は示さない。口腔・咽頭でも年少者は少ないが60歳から上昇している。喉頭は若年者ではほとんど見られず、65歳以上で約76%を占めた。
Ⅵ.疾患別年齢構成
診療所
急性炎症は9歳以下が圧倒的に多く、10歳以上は年齢による差を殆ど認めない。慢性炎症は20歳以上で年齢と共に増加し65歳以上で増加する。アレルギーは5~14歳が多く、その他の年齢層では大きな差はない。新生物の割合が非常に小さい。機能性疾患は成人が約96%以上を占める。
病院外来
急性炎症は診療所と比較して75歳以上の割合が高い。慢性炎症でも診療所より0~9歳の割合が少ない傾向にある。これは、アレルギー疾患でも同じで若年層の割合が低く高齢者の割合が高くなっている。また、病院外来でのアレルギー疾患の割合は診療所と比べてかなり少ない。逆に新生物の割合は25.07%と診療所の0.33%と比較して極端に多い。年齢では成人が約99%を占めている。
年齢構成(図63-1~63-11)
0~4歳ではB2三島ブロックが17.74%で最も多く、B9大阪市西部が16.36%と続いている。昨年同様B5南河内地区が9.44%で最も少なく減少傾向にある。70歳以上では平成20年度から平成23年度まで続けてB2のみが15%以下となっている。B5の南河内地区では70歳以上の比率がもっとも多く0~4歳の比率が最も小さい。
本調査にあたり、ご協力を賜りました日本耳鼻咽喉科学会大阪府地方部会、ならびに各病院、各診療所の会員諸先生方に厚く御礼申し上げます。